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国家と犠牲 (NHKブックス)
 
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国家と犠牲 (NHKブックス) [単行本]

高橋 哲哉
5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦没者を「尊い犠牲」として顕彰することで、悲惨な実態を覆い隠し、国民を新たな戦争に向けて鼓舞する。これこそが、国家の本質に関わる重要な課題ではないか。近代西欧の思想書・歴史書から自衛隊のイラク派兵問題、そして靖国問題まで、様々な言説に共通する国民動員の巧妙なレトリックを分析し、“犠牲=サクリファイスの論理”を乗り越える方途をさぐる。この国の現状を批判的に検証する試みであると同時に、犀利な思考に基づいた、野心的な国家論でもある。

内容(「MARC」データベースより)

近代西欧の思想書から靖国問題まで、戦死者を「尊い犠牲」とする巧妙な論理を分析し、国家と戦争のカラクリを明かす野心作。国民動員の巧妙なレトリックを分析し「犠牲=サクリファイスの論理」を乗り越える方途をさぐる。

登録情報

  • 単行本: 238ページ
  • 出版社: 日本放送出版協会 (2005/08)
  • ISBN-10: 4140910364
  • ISBN-13: 978-4140910368
  • 発売日: 2005/08
  • 商品の寸法: 17.8 x 12.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
「犠牲」という言葉を中心に、

日本、韓国、ヨーロッパなどでその言葉が使われてきた

歴史の背景や比較を踏まえながら、言葉の中身を探っていく好著である。

もし、広島と長崎への原爆投下による犠牲者が「尊い」と言われれば、

その背景を踏まえると違和感を覚える人が多いと思う。しかし

2002年に両地域に国が建てた原爆死没者追悼平和祈念には、はっきりと

そのように記されているようである。

それは、天皇の戦争責任議論回避のための慎重な言い回しとはいえ、

本当に被害者やその遺族やのためでなく、

あくまで国家が体面を保つために都合よく「尊い犠牲」という言葉を

選んだという意図が、この場合よくわかる。

他にも

中世ヨーロッパでは、「尊い犠牲」は教会のための、つまり

宗教的側面として成り立っていたが、その方向が、

教会から国家にすりかわったとするカントロヴィッチの主張、

国家は「犠牲の感情による連帯心」であると主張するルナンなど、

ナショナリズムの成立に関心がある人にもお勧めできる。

犠牲なき世の中は起こりうるのか、

果たして著者のその答えは…。
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形式:単行本
著者の前作を読んでいたので期待していた。「尊い犠牲」ということばの持つ危険性がよくわかり、その問題意識は「靖国問題」以外にも広がりをみせています。永井隆の「長崎の鐘」と、光州事件を分析したところは、著者の意気込みが伝わってきて、この本の白眉。今、このタイミングだからこそ、読まれるべき一冊でしょう。
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13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 小僧 VINE™ メンバー
形式:単行本
「国家」と「尊い犠牲」の関係とはなんなのか?著者はこのような問題に対し、前著『靖国問題』(ちくま新書)においては、「靖国」というシステムの持つ、二つの位相のうち、「近代日本国家に特殊な位相」をフォーカスしたのに対し本書では、「他の国にも見出される一般的な位相」に分析の光を当てる。『靖国問題』と続けてセットで読むといいと思う。

第一部では、日本における「靖国」や自衛官殉職者のメモリアル、ヒロシマ・ナガサキの語られ方が論じられ、続く第二部では、主にヨーロッパの歴史における、祖国のための「犠牲」が持ってきた意味に焦点が当てられる。そして最後の第三部では、国家や社会が普遍的に抱いている「犠牲の論理」は克服できるのか、というとても難しいテーマを扱っている。

第三部におけるマイケル・ウォルツァーの正戦論の検討、韓国にも見られる「犠牲の論理」などに関する点は、新鮮で興味深いものがあった。

共同体を身を挺して防衛するために、共同体が真っ先に命を奪われる存在として育成する集団こそが軍隊であるとの指摘にははっとさせられるものがある。「軍隊、常備軍という存在は、それ自体が犠牲の論理によって成り立っている」(P208)というのである。

著者も言うように、軍隊を捨てた国コスタリカですら国境警備隊を保持している以上、完全に軍隊を持たない国は非現実的である。「犠牲の論理」なき国家・社会は不可能でないかとすら思える。

難しいテーマを扱っているだけに、率直に言って、著者もスッキリとした結論は出していない。

P233「あらゆる犠牲の廃棄は不可能であるが、この不可能なものへの欲望なしに責任ある決定はありえない。」

その通りである。無理だ不可能だと諦め半分に決めてかかるのではなく、常に犠牲のない社会を模索し、考え続けること。それこそが、「靖国」のもとに多くの人々が死んでいった歴史を繰り返さないためにも不可欠である。
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