歴史問題について、東京裁判における裏事情から教科書裁判、村山談話や靖国問題から最近の動向までを手広く押さえている。
簡単なまとめとしては非常に便利な印象。
日本国内の議論については、「建前の措置」と「裏事情(本音)」とをきちんと分析していて、なかなか面白い。
「なぜ補償に踏み切れないのか」「なぜ靖国問題がああいう形になるのか」等はいろいろと見えてくる。
歴史問題の批判に対して「九条」が持ち出されるというのはなるほどなと思わされる。
しかし、それと比べると、海外についての分析は相当に表面的な印象を受けた。
端的に言うと「建前しか拾ってきていない」のである。
例えば中国や韓国は、建前としては日本に抗議する際「被害者の苦痛・怒り」等を表に出すが、本音としては当然国内情勢の様々な事情があるわけで、それが歴史問題が噴出したりしなかったりを大きく左右していると思う。
こうした点も突っ込んで分析できればとても面白い内容となっただろうが、こうした点についてはあまり分析できておらず、建前に終始してしまっている。
本書では度々歴史問題が「国内向き」になっていて、海外に目が向いていないことが批判されている。
しかし、「本音」の分析が国内にしかなされていないのは、筆者の批判を筆者自身もなぞってしまっている印象である
また、談話や条約などについて「〜と述べていることは重い」などと書いていることが何カ所かあり、ずっと「どう歴史問題は行われてきたか」という事実の話を述べてきているはずなのに、突然「この談話でこう述べたことは重要だ。尊重しなければならない」というかのような筆者の主張が前面に出てくるのはわりと違和感を覚える構成であった。
そういう意味で、わりとうまい歴史問題のまとめなのだが、端々でうまくいっていない印象を受けた