北朝鮮への首相訪問を演出した外交官田中均氏と田原総一朗氏の対談で、拉致問題解決はより広い朝鮮半島安定の1里塚、その暁には経済援助があり、双方の利益。相互に利益がなければ外交は成り立たないという外交官の本音が語られています。たしかに、軍事力の無い国の外交的パワーはこれしかないのでしょうが、正義を金で買うことも幅広い国益追求の一環との主張は理論としては理解できるものの感情的には是と出来かねます。このようなギャップを埋めるのは、政治家でもなく外務官僚でもなく、OBたる田中氏本人であるというメッセージで本書は終わるのですが、この当たり前の国民意識との乖離が簡単に埋められるとはとうてい思えません。しかし、昨日の歴史を明らかにした本書は現代国際政治のナマのルポとして大きな価値があるように思えます。
中味的には星4つ、ただ、読後感が今ひとつなのでマイナスして星3つの評価となりました。