本書については、レビュアーさんによっていろいろな意見があるようですが、私は価値のある本と思いました。著者の主張の是非には様々な評価はあるかと思いますが、少なくとも、膨れ上がる日本国債問題を平易にわかりやすく説明をしている点は評価できると思います。
本書の前半は、「日本国債は、ギリシャなどとは違って、大部分が日本国内の投資家によって支えられているから大丈夫」とか、「金融資産が潤沢にあるから大丈夫」のような、よくある説明に反論し、警鐘をならしています。
私たちは、いま、「なんとなく不安には思っているが、当面はまあ大丈夫だろう」と考え、痛みを先送りし、負担を後世代に押してけている状態です。そして、本書は、日本国債を持っていない人にとっても、「私は関係ない」というわけにはいかず、極めて身近で重大な問題であることを解説しています。
本書の後半は、日本国債の格付けが低下傾向にある理由や、財政健全化対策の遅れ、そして現在の日本政府のガバナンスの欠如について書いています。
確かに、いまの民主党政権は、子供手当や高校無償化や高速道路無料化などバラマキ政策を行う一方で、その財源は当初「ムダな支出を洗い出して削る」のようないいかげんな説明に終始していました。そして、東日本大震災が起こってからも、消費税増税の話はするものの、歳出面で見直しは十分に行っていません。
本書は、放置すればするほど危機が高まっていることに警鐘をならしています。
ヨーロッパで金融危機が高まる中で、本書は、日本国債の問題、その背景にある日本経済の問題、さらには日本政府のガバナンスの問題について問題提起した優れた本と思います。
経済や政治について言及する以上、さまざまな意見があることは理解できますが、そのような意見の相違があったとしても、少なくとも一読には値すると思います。