図鑑なんである……。
ミイロタテハ、モルフォチョウ、トリバネアゲハ・キシタアゲハ、カラスアゲハと、美しい蝶のグループだけを、依怙贔屓して作られている図鑑だ。
ミイロタテハ、アグリアスのフルニエコレクションからの図版は貴重だ。しかし、数百あるタイプを網羅しきっているわけではない。他のグループも、それぞれ代表的な種を概観し、解説が付されている。なんか中途半端で、もどかしい。
そのもどかしさは、ちょうど十年前に発刊された、同じ著者による『世界珍蝶図鑑』のもどかしさに似ている。それぞれのグループには大冊の図鑑が既に出ていて、図鑑としては及ばないのはボリューム的にも無理な相談だ。美麗な蝶々を簡便に眺めるには適しているかもしれないが、図鑑として活用できるかと言えば、答はノンであろう。
また、著者本人は「美しい」と自賛しているが、レイアウトのけばけばしさが目立つと思う。
なお、本邦産カラスアゲハについては、3種に分ける昨今の時流に反し、1種として取り扱っていて、著者の持論も展開されている。
※内容紹介の「ミイロタテハ(アグリアス)からモルフォ、トリバネアゲハなど5種と亜種数百種を写真入りで解説」という「5種」は明らかに間違い(笑。