筆者は東京三菱銀行で実際に資金運用に携わった方。それ故、いわゆる金融工学の教科書的なものと違って、現場での実際的な悩みの部分に触れられる(よって、VaR等リスク管理の基本を知っていることが暗黙の前提となっている)。
この本の真骨頂は第4章以降にある。気をつけなければならない点は、タイトルに「市場リスク」とあっても、中身は狭い市場運用にかかるリスクだけでなく、銀行勘定や信用リスクなどにも範囲が広がっている、ことである。
現代のリスク管理の議論の中でもスタンダードとして固まったものを説くのではなくて、自らやその周囲の悩みを俎上にあげ思考実験を追う過程を赤裸々に明かしているのは珍しいのではないだろうか。
星1つ減としたのは、書き振りが多少親切さに欠けており言葉をはしょているため分かりにくいから。もう少し冗長でもいいから言葉を足して説明して欲しかった。