「妖怪」は日本独自の概念らしい。子供のころから、誰しも知らず知らずその一端を見聞してきている。コワイ!からオモシロイ!への心理的変化を伴いながら....
室町時代後期まで遡れるという「百鬼夜行絵巻」から説き起こし、妖怪画の系譜をわかりやすくコンパクトに解説してくれた本である。妖怪ブームを巻き起こした水木しげるの「妖怪」像の淵源ががこんなところにあったとは・・・・
妖怪は時代と共にその形象に創意工夫が加わり変容しながら、延々と日本文化の中で継承され、現代漫画の世界まで生き続けている。時代と共に変化する「妖怪画」を眺めながら、何となく優しさをかもす現代マンガの妖怪画に至ることは実におもしろいところだ。
形象がなくおどろおどろしい神秘性で畏敬の念を呼び起こすものが、ビジュアルな絵に具象化され、視覚化された途端に「戯画」となり、「ユーモア」の発露になる。そして、徐々に神秘性が脱落していく。江戸時代の都市民にとって、「化け物尽くし」が知的好奇心の対象となり、「妖怪」は「マンガ」という愛玩物になっていたという説明に、なるほどなあ、そういう対象になっていたのかと感じ入る。
妖怪は、「対立」から「共生」としての隣人的存在に変化するという「妖怪マンガの未来」予測も興味深い指摘となっている。