新石器時代末期から帝政末期頃までの古代ギリシア史を、西アジアや西方植民市、ローマといった周辺世界との関連を絡めて概観。著者のJ.CampIIはアテネのアゴラ発掘の責任者として有名であり、本書も現在の研究水準に合わせた内容となっている。文章は平易で、古代史研究・古典考古学の導入書として最適。
考古学的史料に基づいた記述が多いため、特に物質文化への関心が高い読者向き。図版も多く、ビジュアル的に楽しく読める。文化史研究では参考になる部分が多いが、国制や軍制に関する文献史的な記述はあまりないため「評価4」とする。
これまで古典期の政治史・社会史研究がメインテーマとなってきた本邦において、前古典期の植民活動や古典期以降の芸術・祭式といった広範な分野について纏まった形で読める概説書は稀であり、その意味で古代ギリシアに関心があれば一読をお薦めしたい良書である。
巻末の遺跡案内と文献一覧も基本が網羅されており、初学者には参考になるだろう。