本書は日本に対してわりと好意的な記述が目立ちます。また指摘も的確であるように感じます。「みずからの本質をそこなうことなく、外来の文化を取り入れ応用していく力こそは、日本文化の特筆すべき能力」との指摘や、源氏物語はプルーストの小説に匹敵するような芸術作品との言及があります。
江戸時代については、「この政権が上手く機能していたとき、たしかにそれは人類社会におけるもっともすぐれた社会体制のひとつだったといえるでしょう」と述べていますが、これは「代表的日本人」に書かれた上杉鷹山のエピソードを念頭に置いてのことでしょう。
江戸幕府は「絶対君主のように見えるが、本質的には大名連合の盟主」、「小さな政府であり富は社会にとどまり国民の生活水準を押し上げた」、「江戸時代の武士とは消費のみを行う人々で巨大な消費市場が成立した」、「貨幣経済の拡大とともに商人は力をつけ、武士たちは両替商と呼ばれる銀行家たちに頼るようになった」などなど、ユニークな視点も面白いです。
日本についての章を読むだけでも買った価値はあったような気がします。