ヨーロッパ諸都市の中で、日本での知名度が決して高いとは言えないブダペストですが、かつてオーストリア・ハンガリー二重帝国時代、ウィーンと同等の地位を獲得していたこの街は、複雑な歴史と美しい景観を持つ魅力ある都市です。本書はそんなブダペストがいかに発展してきたかを、近世以降に焦点を当てて記述しています。
写真は豊富ながら白黒も多く、ブダペストの景観を写真で楽しみたい場合には少し物足りない感じですが、歴史的事件の写真や建築の細部写真など、街の細かい点を知るのに役立つ図は多い印象です。
本文では、街全体を概観したのち、歴史、とくに19世紀の建国千年祭ごろの発展と都市市民の様子などが解説され、他にイスラム文化の影響、ユダヤ人の明暗、二度の革命などが記載されています。記述内容から想像されるとおり、ブダペストをちょっと訪れる際の観光ガイドにはなりにくいと思いますが、ある程度の期間滞在する、もしくは一度行ってみて歴史を知りたくなったという方には興味深い情報を提供してくれると思います。ブダペストという街について、詳しく知りたい人のための入門書です。