日本史の教科書に登場する人物もそうでない人物も含まれていますが、本書を読み進めるに従って、文明開化と言われている明治以前の江戸時代に実は相当な科学が育まれていた事実を我々はほとんど知らない、ということに愕然とします。
オールカラーで豊富な実物の写真、絵図、現代に残る行事などを取り入れながら、その人物の功績を浮かび上がらせています。
旧宅が残っていたり、その資料館があるような人物はまだしも、遺品や伝聞資料を利用しながら、その生涯をたどる作業は歴史の醍醐味ですし、近代化と言われているものが、想像よりずっと早い時代から脈々と研究された結果だということが分かるでしょう。
本書に登場する15人の紹介を簡単に私なりにまとめました。
からくりの細川半蔵、玉川上水を開削した玉川兄弟、サツマイモを普及させた青木昆陽、マルチ才能の持ち主平賀源内、町人天文学者の間 重富、海運改革の工楽松右衛門、全国を測量した伊能忠敬、全身麻酔手術を成功させた花岡青洲、種痘術の蘭方医楢林宗建、反射望遠鏡を制作した国友一貫斎、顕微鏡を使って雪の結晶を記録した土井利位、近代化を推進した島津斉彬、蒸気船まで手掛けた田中久重、江戸の海防に力を尽くした江川英龍、写真技術を定着させた上野彦馬。
巻末に主要登場人物の生没年一覧、訪ねてみたい博物館・資料館ガイド、江戸時代の科学・技術史年表、図説「江戸の科学力」索引、などが所収されており、丁寧な編集だと思いました。
監修は日本近世史の研究者で映画・テレビでの時代考証の仕事にも携わっている東京学芸大学教授の大石学氏でした。