この「図説・微生物による水質管理」は下水処理に関連する細菌に関する基礎知識を分かりやすく解説するとともに、原生動物や後生動物の顕微鏡でのデータ整理の方法、下水処理に関わる原生動物のそれぞれの意味などを詳しく解説してある。
JICA専門家として、タイで2年弱、下水道の維持管理の改善に関わる業務に携わってきたが、土木出身の私には、この本のような素養がなかった。もっとはやくこの分野の知識を習得していればと悔やまれてならない。もちろん、国外だけでなく、国内においても汚水処理に関わる技術者は、この本で書かれているような知識は相当に役に立つと思われる。
私自身がかつては顕微鏡でフロックをのぞいたりすることは、どのような意味があるか十分に理解しておらず、また興味を持っていなかったが、「図説・微生物による水質管理」などを通して、顕微鏡という道具と、顕微鏡で観察できる世界を通して下水処理の過程で生じる問題のかなりの部分に直接アプローチできることが理解できてきた。
「図説・微生物による水質管理」と似た本に、おなじ産業用水調査会から出版されている「図説・生物相からみた処理機能の診断」(須藤隆一、稲森修平著、1983年、5250円)、日本下水道協会から出版されている「エアレーションタンクの微生物・検鏡と培養の手引」(1990年、6500円)、山海堂からは「下水処理と原生動物」(盛下勇著、2004年、1995円)などがある。なお下水道協会からは「エアレーションタンクの微生物・検鏡と培養の手引」とあわせてビデオ(CD-ROM)も販売されている。
その中でも単に暗記でなくこの原生生物がいるのはこういう理由だという理屈とともに納得させてくれるという意味でこの本がもっともお勧めだ。この本を読んで目からうろこが2枚落ちた。