書店に並ぶ、比較的平易な歴史解説書シリーズのなかで、代表的なシリーズがこちらといってよいと思う。改訂を重ね、最新版は第4版(筆者2003年逝去のため、それ以降は改訂なし)。
類書と比べたこのシリーズの最大の特徴は、全編フルカラーで建築物や美術品などの美しい写真が、これでもか、と豊富に盛り込まれている点です。この巻では、有名なイスラエルの「岩のドーム」などの建築物やイスラム美術などの写真が掲載されており、見応え十分です。
そして、壮大な物語を綴っていくような、明快で論理的な筆者の文章がすばらしいと思います。このシリーズと出会ったのは、大学入試の時。いわゆる年号暗記系の世界史の受験勉強に辟易して、このシリーズを読んでは、世界史の面白さを再確認し、気を取り直していました(笑)。遠大で長大な歴史の渦に考えをはせる時、気が遠くなるような思いを感じるとともに、ワクワクしたのを覚えています。
筆者は、オックスフォード大学の歴史出版物の編集に携わった方だそう。日本語版監修者の方は、あとがきで、筆者がヨーロッパ系の文献しか目を通していないためいわゆる西ヨーロッパ世界からの観点にやや偏った記載がなされていると不満を漏らしていらっしゃいます。……が、どんな人間も世界のどこかの国で育っている以上、語学力の壁もありますし、努力してもある程度バイアスがかかるのは仕方ないのでは?という気もします。。重要なのは、公平であろうとする態度と思います。読者も参考文献の点については、了承して読めばよろしいかと。