薬理学の教科書と言えば、薬の作用機序がまず書かれていて、一通り説明された後に適応となる疾患が羅列されているタイプがメジャーです。
各薬物に対しては良く分かるのですが、ともするとその分子生物学的な事柄が詳細に書かれすぎ、実際に疾患と出会った場合、何をどう使うのか・第1選択薬は何なのかといった核心的問題が分からなくなってしまい、臨床の視点に乏しい感があります。
ですが、この本は臨床を第一に述べています。
「喘息」や「糖尿病」などの良く遭遇する疾患を1つ1つの章にし、そして次にその病態生理を変に詳しくなり過ぎず、分かりやすく説明しています。そしてそこから基づいた治療戦略が箇条書きとなっており、次に戦略に則った薬物を作用機序・臨床応用・副作用の順に解説しています。
きちんと非薬物療法−例えば虚血性心疾患の章でのPCIやCABG−にも配慮されているのも嬉しい所です。
また、各疾患のページの最初に薬物がどう作用するのかを描いたイラストがあり、理解を助けてくれます。
その他バイオアベイラビリティや薬物相互作用、投与量の問題など、まさに臨床に直結した知識が満載です。
そして第2版となり、各疾患治療の最新エビデンスをふんだんに盛り込み、かつ進歩著しい分子標的薬が追加されました。
薬理学を学ぶ最初の一冊には向かないと思われますが、2冊目としてピッタリだと思います。
薬理学を基礎のまま終わらせず臨床に結びつけるためには、最適な本ではないでしょうか(値段からもオススメできます)。