北方問題は言うに及ばず、このところ竹島問題や尖閣諸島問題など、日本の近隣諸国との間での領土問題がヒートアップしている。
戦後のわが国における公民教育の失敗が原因しているからか、それとも経済至上主義の副作用からか、小生も含めて余りに多くの国民はこれらの領土問題について重大な関心を払って来たように思われない。
今や日本は、領土問題に限定して言えば、ロシア、中国、韓国、北朝鮮、台湾という国々には四面楚歌の状態にされ、さらには、対中、対韓関係の改善にシフトしつつある米国からも領土問題には不干渉(都合の良いモンロー主義)という肘鉄をくらわされている。
本書は、このようなときに、豊富な資料を掲載し、これら諸問題の現状や歴史・経過を非常に容易に理解できるように企図して出版された良書である。わが国がかかえる領土問題を真剣に考えようとする人には必読の書として強く推薦する。
また、国際法学者の芹田健太郎教授が著した『日本の領土(中公叢書)』も併読すれば、読者のこの問題に対するなお一層の理解が深まるものと考える。