日本の立ち遅れた現状をきちんと描き出しているので、それは本書の減点対象にはなりません。
バイオエタノールは、ブラジルで大量生産され、アメリカでも連邦政府としての導入目標が示されて増産される見込みですし、インドや中国でも導入が進んでいます。一方、日本では高濃度アルコール燃料を使った自動車の火災事故が起こり、政府の基準で体積比3%までの混合しか認められていませんが、そもそも国内生産のキャパシティが少なく、輸入に頼らざるを得ないのが現状です。
しかし、バイオエタノールはカーボンニュートラルです。生産・加工に加えて海外からタンカーで運ばれる過程で発生する二酸化炭素や、ガソリンとの比較による燃費の悪化を考慮しても、バイオエタノール混合燃料は二酸化炭素排出削減に十分寄与します。本書では、そういう素朴な疑問に対し、具体的な数字を挙げて明快に説明しています。
こうした実態を踏まえ、経済産業省・農林水産省・環境省・消防庁といった国の行政機関は、二酸化炭素の排出削減や石油依存の脱却を目指して様々なプロジェクトを立ち上げています。本書は2004年初版ですが、一部の国内外の動向について2006年の増刷時に書き足された部分もあり、最新動向をフォローするにも役立ちます。
生産・加工・輸送の国際動向、技術の実態、法律規制の実態、国内外のプロジェクトなどを幅広く網羅した本書は、変化の激しいバイオエタノール業界を知る取っ掛かりとして最適だと思います。