雄大なテーマを扱った読みごたえある力作だが、不満も残る。
「よくわかる」と銘打たれているが、理系でも大学1、2年生では、よくわかるレベルでは決してない。「断熱温度勾配」の説明(p.72)を読んで対応する式を思い浮かべたり理解できたりする読者はあまりいないだろう。その一方で、中学生でも理解できそうな、「触媒」を説明する脚注があったりする。
内容は一言で言えば荒削りである。それは、現代科学が地球史をなめらかなストーリーとしてまだ語り得ていないということでもあろうし、他方、筆者らの仕上げ不足という面もある。後者についてはたとえば、「酸素の増大」の時期の記述である。「27億年前」(p.176)、「23億年前」(p.178)、「22億年前」(p.179)、「24億年前」(p.180)、「22億年前ごろから19億年ごろ」(p.196)などとバラバラである。どれが正しいのかというのは短絡的反応であろうが、それぞれがどういう意味合いで「増大」と言われているのかは、「よくわかる」ことを求めて読む読者には自明ではない。日本語として不自然な文も散見される。
とは言え、細かいことにあまりこだわらず、最新の学説まで含めててんこ盛りにした著者らのエネルギーが感じられ、本書を読んでこの分野を専門に学ぼうと思う学生がいても不思議ではない勢いがある。内容に比べてかなり廉価でもある。