電気自動車というと、エンジンやミッションを外してモーターとバッテリーをつけてできあがり、と言われていますが、それはとんでもない俗説で、モーターの最大トルクが発生する回転数の範囲はエンジンとは全く異なるうえ、トルクに応じた電流の制御とバッテリーの最適管理や、センサーによる負荷検知と冷暖房や情報の表示を含めたインバーターの動的制御など、想像を絶する多項目の複雑な制御があり、そのノウハウがオペレーティングシステム(OS)に詰め込まれているわけですが、本書では殆ど踏み込んでいません。その意味で物理屋さんか機械屋さんの著作の域を出ていません。制御の本は別に出てはいますが、それは制御屋さんの著作で非常に独善的で難解です。
本書を読みますと、改造型(コンバージョン)電気自動車は「本物」?の電気自動車とは全く別物であることがよく分かります。ただ惜しむらくは本書は燃料電池車に多くのページを割いていますが、燃料電池車は現状では非現実的な存在なので、割愛してOSの構成にもっと力を入れると良かったでしょう。ただし、OSは(マイクロソフトのWindowsでも同様であるように)各社ともに企業秘密の部分が多いので、著者にも開示されていないのかも知れません。しかし今後は、OSのウイルス対策やサイバーテロに対する防壁など、車の安全に関する記事が増えることが望まれます。その意味では本書はまだ過渡的な解説書と言わざるを得ません。システム屋さんかコンピュータ屋さんの著作が待ち望まれます。