冒頭から、郁と一緒に涙を流したり、身悶えたり、憤ったり、小牧と一緒に上戸のツボを押されて笑ったり、身悶えたり、ときめいたり、心配したり、身悶えたり。
読むほうも非常に忙しい。表情を変えずにいられるものか。
図書隊を完全無欠な正義の味方にしてしまわない作者に好感を持つ。現実的で社会的な問題をきっちりと織り交ぜて進む物語は軽くない。
「お話」の正義の味方だったら、正義の権威は揺るぎがなくて、構成員は老病死苦には無縁で変わりがなくて、善悪の二元論は単純で混じりがなくて、きっぱり勧善懲悪してみせるだろうに。
郁は迷うし、驚くし、おののくし、自分が被るものを知った。図書隊の心身は傷つくことを知っている。清潔で綺麗な手を持つ神の代理人ではないことを、深く強く思い知っている。暴力へのためらいが貴く、いとおしく、好ましい。
郁もほかの登場人物も、本当によくがんばっている。何度でも、頭を撫でてもらって、叩いてもらってほしい。
次で最終巻とのこと。楽しみではあるが、寂しい。絵空事でいい。最後まで惹きつける、できれば幸せな結末が待っていますように。