シリーズもついに10作目.時間の流れは『
猫物語 (白)』から『
花物語』の間の三日間で,
多くがヒロインに抱いていたであろうイメージを大きく,残酷に崩しながら進んでいきます.
中でもそんな彼女が奥底に潜ませる思い,この年代にはありがちであろう苛立ちや劣等感,
逆にそういう相手と向かい合ったときの,表現しづらいもどかしさや嫌悪感のようなものが,
二人の少女のやり取りから,どちらの立場にも共感しやすく激しく描かれているのが印象的で,
少しばかりモタつき加減も感じられたそれまでから一転,終盤へと一気に引き込まれていきます.
そしてその終盤,わずかのセリフでその存在感を見せつけたあの少女にはさすがとしか言えません.
さらにお得意の言葉遊びは『神憑き』と『噛みつき』というわかりやすいところはもちろん,
タイトルにある『囮』の文字には,作中で語られる意味以外にもいろいろな解釈ができそうで,
難しい言葉をひらがなに崩した演出も,彼女の『可愛らしさ』をうまく,嫌らしく伝えています.
また,大好きな彼から投げかけられた辛い一言.自らが望み,招いてしまった結果とはいえ,
「大嫌い」と叫ぶほどに追い詰められ,『終わり』へと転がる姿はただただ心苦しく映ります.
神様にさえ見捨てられた彼女をも彼は救おうとするのか,それとももう戻ることはできないのか?
しかし結末はシリーズ初の続刊へというまさか,しかも最終刊となる次々巻という気の持たせぶり.
明らかに何かを知り,彼らの『物語』をかき回しているとしか思えない人物も未だに謎のままで,
次の巻では少し時間が戻るはずなので,そこで整理がされ気持ちよく完結へと向かってほしいです.