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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人間のグラデーションの集まり,
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レビュー対象商品: 団地の女学生 (単行本)
『性の倫理学』を読んだ上司に「聡明にして冷静な問いを持った著作家」と薦められたのがきっかけで、伏見氏の著書を手に取り『ゲイという経験』『魔女の息子』や『さびしさの授業』など温かくも理知的な視点に感心していました。
『魔女の息子』の方は読後は著者の力に「さすが」感。 この『団地の女学生』は(自分の年齢が現在三十代半ばなのも相まってか) 「自分の精神が一旦ゼロにされて考えさせられる感」。でしょうか。 「あの人は私のことを誤解している」とか「本当の私を解っていない」というセリフ自体は、日常頻繁に聞かれるけれど、ではどこまで知れば「正解」でどこまで取り違えれば「誤解」なのだろうか。しかも正解も誤解もその人が辿ってきた年月によって、または日によっても変わってしまうし、人間は基本的に他人に対しては容姿や言葉や年齢、所属している場所などによって「単純で悪意のない決め付け」でもって日常を生きてるんだな。 理屈で解ってはいながら「高齢者」とか「若者」とか、ついつい現時点でくくって日頃話をしているけれども、生まれながらの高齢者もいなければ永久に若者でいる人間もいない。実は「それぞれの年代の空気」をように吸ってきて、各々が単純に言えない経験をしてきている、「グラデーションの集まり」が人間なのかもしれない。 …などということを何だか不思議と考えながら引き込まれて読みました。 誰もが思い当たる、「こんなさもしいことを考えている自分を他人に知られたら」という恐れから、存在はするけれどもなかったことにしてしまいたい種類の精神が主人公によってはっきり開陳され、そこのところが読者の精神を「気負うなよ」「気取るなよ」と一旦ゼロゲージにしてくれる気がします。 (語り手でない)脇役が主人公になるサイドストーリーはよくあるパターンで陳腐な発想ですが、歌手の視点で捉えなおすとどう物語は展開するのだろうと、素朴な興味が湧きました。 読んでいることや話の筋を忘れてもどうということはなく章ごと・段落ごとに栞を挟んで日記のように読めるものと、とにかく最後までたどり着かないと居ても立ってもいられなくなるものがあった時に、これは明らかに後者。早く結末を知りたいなどのお手軽な欲望を喚起する形ではなく「大事に物語につきあいたくなる」感触です。 読書中や読後感に、安心感でも反復感でもなく、味わったことのなかった感覚が呼び起こされるのが「新ジャンルである」としたら、”「新ジャンルコメディ」というような不思議な読み心地”いうのはそういうことか。と膝を打つ一品、お薦めです。
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
味付けに一工夫,
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レビュー対象商品: 団地の女学生 (単行本)
「爪をかむ女」「団地の女学生」の2つの話が収録されている。タイトルとなってる話より前者のほうが長い。
前者の主人公は30代後半の女性。若い頃は演劇や音楽での成功を夢見ていたが叶わず、現在はホームヘルパーをしている。そこに中学時代の仲良しの友達から連絡がくる。この友達は音楽で大成功した今や有名人。当時は「格下」に見ていた相手の成功と自分の現状に嫉妬心を覚える主人公。そこに介護している老人達の物語が加わる。 ごくありきたりの素材を寄せ集めた、どこかで読んだような話である。話の展開もごくありきたり。途中で話が読める。それでも非常に面白い。ところどころ絶妙な心理描写、独特の表現があって、退屈させない何かがある。 タイトルとなっている話のほうの主人公は老女と独身男。老女がある日、ある理由で故郷を訪ねようと思い立ち、付き添いを隣人である40代の冴えない太った独身男に頼む。旅の結末、その時の老女の心境もありきたり。それでもこの独身男の存在、その行動が新鮮なスパイスになって話が面白く仕上がっている。 つまりは「ありきたりに見えるものでも、やはりありきたりではない」というテーマ(?)に沿った、とても面白く楽しめた本だった。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
修行,
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レビュー対象商品: 団地の女学生 (単行本)
おもろー!
とか思って気を抜いて笑ってると、グサッと刺される感じが、やみつきになります。 「毒毒しい中にも、心温まる〜〜」などという書評を見ていたのでナメてかかったらボコボコにされました。 「大人になっても、生きてくのってこんなに辛いのか、、、」 と、読んでから数週間は胸に重石を乗せられたような気分でしたが、 時間が経って徐々に消化もできてきた今は、前の自分よりちょっと強くなれたような気もします。 読み進めて行くうちに自分の中からもドロっとした毒が込み上げてくることに驚きました。 これまでなんとなく持っていた価値基準やもろい思想を考え直させられた、力のある作品でした。 んー、勉強になる! 星五つ!
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