画家を深く私淑していた美術評論家のエミル・ベルナールによる、近代絵画の父ポール・セザンヌについての回想録です。後年に作られた他のセザンヌ解説本によれば、本書の記述は誤りも含んでいるとのことですし、何しろ著者は大のセザンヌファンですから主観的な感想もあり,その辺りは少し気をつけて読む必要はあると思いますが、実際に一ヶ月間身近で生活した人間が書いたものなので、セザンヌを知るための貴重な資料であることは間違いありません。
わたしは本書を含め数冊の関連本を読みましたが、セザンヌの人となりは、頑固で偏屈で繊細で人見知りで、しかし愛情深くて友情を大事にする誠意のある人物、という感じだろうかと思います。どちらかというとゴッホタイプの不器用な芸術家で、ゴーギャンのように洒脱で洗練された、パリジャンタイプの画家の真逆と言ってもいいでしょう(ちなみに、ゴーギャンはセザンヌを尊敬していたようですが、セザンヌはゴーギャンの絵を嫌っていたらしいです)。
しかし、彼の芸術は自然に学び理論や客観を重んじる、素人には非常に難解なものです。2012年東京で『セザンヌ展』が開催されるので、出来る限り予習をしようという気持ちで色々読んでいますが、まだまだ勉強する必要がありそうだなと〜思いました。セザンヌが「これはわたしのことだ」と言ったという、バルザックの小説『知られざる傑作』も読んでみるつもりです。
他のセザンヌ本としては、<知の再発見>シリーズの「セザンヌ」が個人的にお勧め。