王位戦で千日手を含めた8局中6局で振り穴を採用し深浦さんからタイトルを奪った広瀬王位の穴熊を扱った本です。
・対急戦
基本的に振り穴が後手番。「急戦は居飛車が先手で互角に渡り合えるかどうか」だからだそうです。
斜め棒銀や山田定跡風の仕掛けなどといった棒銀以外の急戦に対しては3二銀型で待つことが有効な場合が多いとのこと。仕掛けの段階で堅さと遠さに結構な差が生まれているので、4五歩から角交換を挑む手を切り札に強く戦うことで振り穴側がペースを握って戦うことが出来ます。
・対銀冠
この章は振り穴が基本的に先手番中心。後手番でも応用が効きますし別に後手番の場合の解説もあるので問題ありません。
プロ間でも居飛車側で人気の高い銀冠。大きな特徴としては、玉頭に圧力をかけることが出来るので攻守両面に働く優秀な囲いであることが挙げられ、穴熊側としては厄介な相手だと思われます。
この章では最初に1九玉+2八銀+3九金+3八金の「単純穴熊」が「相手に待たれると何もできない欠陥戦法」であることが解説されていて、それを踏まえ如何に攻め味を残しつつ戦うかが事細かに解説されています。ざっぱに言うと6五歩+6六銀型を作りたい振り穴側とそれを許したくない居飛車のせめぎ合いという感じです。
・全体
考え方が中心で読み進めることがスムーズにできる本です。また、変化の最後に「いい勝負」「振り飛車ペース」などといった結論が書かれているのが非常に分かりやすいです。内容自体はなかなか高度で上級〜有段者の方向けだと思います。
対銀冠穴熊、対居飛車穴熊は続編で取り上げられるそうなので非常に楽しみにしています。