東北地方の山深い温泉町に講演に招かれた作家二人。大雨の中ようやくたどり着くが、町へ入ったとたんに唯一外へと連絡している橋が大水で流され、町の中に閉じ込められてしまう。そこで起こる殺人事件。
さまざまなジャンルで傑作をものしてきた著者が、ミステリにおいてもその腕の冴えを発揮した本格ミステリです。
町全体が出入りもできなければ連絡もできない閉じられた状態で次々と事件が起こる、いわゆる「嵐の孤島」「嵐の山荘」と呼ばれる、オーソドックスなタイプのミステリですが、そこは才気煥発な著者のこと、一筋縄ではいかないような仕掛けが用意されていて、読者を驚かせ楽しませてくれます。
また、国の農業対策の、そのいい加減さや不備な点について述べてあり、ページ数はそれほど厚くはないものの、ミステリの楽しさや社会問題への言及などで、とても読み応えのある作品になっています。
本作以外にも、著者の小説の中には、ミステリの味付けがしてあり、とてもおもしろいものが多数ありますので、ミステリファンは要チェックですよ。