著者は終戦直後に会社を立ち上げてから、83歳の今もなお現役の経営者とのことです。日本の一部上場企業の中に、約60年もの経営キャリアを持つ創業者がまだ残っていることにまず驚きました。昭和から平成にかけての激動の時代を生き抜いてきた経営者が、普段何を考え、本書でどのようなことを伝えようとしているのかに興味を抱き、本書を手に取りました。
中身は、著者の仕事観、さらには人としての生き方などのエッセンスが、平易な文章でコンパクトにまとめられています。単なる箴言の羅列ではなく、著者自身の体験談と関連づけられているため、読みやすくて胸にダイレクトに響くものでした。
著者は特に若い読者を意識して本書を執筆したようで、内向き志向といわれる若者への熱い想いが文面からひしひしと伝わってきます。しかしここに書かれている内容は、すでに中年の域に達した私にとっても十分示唆に富むものでした。
ハウツー系自己啓発本のように、すぐに何らかのスキルを身につけるといったことは期待できませんが、じっくりと、着実に自分自身を大きく変える力を持った本です。