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四十日と四十夜のメルヘン
 
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四十日と四十夜のメルヘン [単行本]

青木 淳悟
5つ星のうち 2.9  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)

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第27回(2005年) 野間文芸新人賞受賞

内容(「BOOK」データベースより)

「わたし」の部屋には、配りきれなかったチラシが溜まっていく。チラシに書かれた文字が勝手に増殖して…。「『四十日と四十夜のメルヘン』を読みながら私は現実が異なる空間に変容する体験をした」と保坂和志氏が表した新潮新人賞受賞の表題作。そして保坂氏のほか、島田正彦氏や鹿島茂氏の讃辞も集めた第二作「クレーターのほとりで」。

登録情報

  • 単行本: 216ページ
  • 出版社: 新潮社 (2005/2/26)
  • ISBN-10: 4104741019
  • ISBN-13: 978-4104741014
  • 発売日: 2005/2/26
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 2.9  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 339,957位 (本のベストセラーを見る)
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5つ星のうち 4.0 イメージの拡散, 2005/6/2
レビュー対象商品: 四十日と四十夜のメルヘン (単行本)
物語は、主人公の身辺雑記としてゆるゆると開始し、淡々とした描写が続いてゆく。ところが、主人公の、私淑する作家の作品分析へのこだわりの描写あたりから、ストーリーの焦点が一体どこにあるのかが曖昧になってゆく。さらに主人公がチラシの裏に書き記す日記が、ミニマルかつ無限に拡大してゆき読者を幻惑する。後半では、主人公の手になる作中作が一人歩きし始め、もともと希薄な主人公の存在感が、ますますぼやけてゆく。気がつくと主人公の平坦な日常は、いつの間にか時空を超えた迷宮へと変貌していて、読者は途方に暮れることになる。奇妙な読後感を味わえる作品。
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7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 すごいものを読んでしまった, 2010/7/4
例えば、ある人物の日記風に書き出されていながら、気づいて見ると観察されている当人の心情に移っていて、さらに執筆中の小説のなかの人物の心情に移っている。見る人と見られる人、現実と虚構の階層をあっという間に越えてしまうとんでもない小説。とはいえ、それぞれの階層内の描写は徹底的にリアリズムであり、まったくでたらめなことが書かれているわけではない。ただ、その結合の仕方が無気味なほど自由なだけ。映画でいえばとてつもないカットの連続といったところです。すごいものを読んでしまった。

もちろんその「結合の仕方」は因果関係ではないので、物語を読みたい人(=つまり因果関係を確認したい人)はまったく読めないことになりますが、それは別に悪いわけではない。ただ、物語を読む人用には上質の物語が世の中にいくらでも存在しており、この小説はそうではないというだけです。映画も同じ。ストーリーで人を動かす映画がたくさんあり、一方にはそうではない映画がある。

そのようにまったく別の物なのですが、その間を取り結ぼうと保坂和志さんが解説で奮闘しています。分からない人は放っておくという高踏的な態度をとる小説家・批評家・思想家が多い中で、この啓蒙的な態度には頭が下がります(「小説の自由」しかり)。とてもおもしろい解説。それがまた「保坂和志のいうようなことは理解できない」とか「分かる人にしか分からないものは小説ではない」などという見当違いな批判も招いているようですけども。「こういう風に読めばよい」と道筋を示してくれる解説から素直に読んでその意味を考えるか(明らかにこちらのほうが現代的な態度ですが)、それが気に入らない方は啓蒙を否認してわが道を貫くか、物語に耽溺するか、という別の道がいくつもありますので、そんなにこの小説に目くじらを立てる必要はありません。ご安心を。
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4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 普通にちょっといい作品, 2010/6/28
文庫化されたようなので、いつ読んだか忘れましたが、その時の感想を書きます。
私が、読んだのは「四十日と四十夜のメルヘン」のみで、「クレーターのほとりで」はなんとなく途中で読むのを止めました。
(その後、「四十日」は読み返しましたが、「クレーター」は読んでません)

「ピンチョンが現れた!」はうそです。確かに「競売ナンバー49の叫び」を思わせるような、地下組織?や人物や怪しげな歴史が語られたりするのですが、ピンチョンのような手に負えないような巨大な広がり(世界観)はありません。

では、この小説がつまらないかというとそうではなく、細部だけが妙に生々しい夢のなかで生活しているような、不思議な読書感(読後感ではない)があります。正直「プロの作品」という感じではないです。でも、この人はもしかしたらこれ以上の作品をもう書けないのではないか?と思わせるような、何かがあります。

個人的には「読みやすい」「わかりやすい」作品は、読み終わってそこで終わり、な気がします。
同じ何百円か、千何百円かを払うなら、また「読み返そう」という気にさせてくれるこういう本に払いたいと思います。

劇中作の「メルヘン」が素敵でした。(オリジナルなのでしょうか?)
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