乙美が亡くなって四十九日を迎えるまでの、切なくて、でもあたたかい奇跡のような物語。乙美が亡くなってから残された家族は参ってしまう。乙美の夫の良平は呆然と日々をすごし、最後に妻と交わした言葉が彼女の些細なミスを怒鳴り散らしたことだったことに後悔している。娘の百合子は夫の浮気相手の若い女が妊娠したことを知らされ、都会から実家に戻ってくる。そこに真っ黒に日焼けした金髪の女の子が登場し、物語が静かに動き出す。
私事で恐縮だが、私もこの本を手にとって読み始めたときに「参って」いた。急な仕事の数々に忙殺され、睡眠時間を少ない毎日。さらに親戚の間にもいろいろなトラブルが続いていた。多忙な日々が続いて、いつしか妻との会話も少なくなっていた。
そんな中、この話を読み始めて、大切なことに気付かされた。それは「自分の一番大切な人のことを、本当に一番大切にしなければいけない」ということ。いたってシンプルなことだけれど、そのときの自分にはそれが出来てはいなかった。『四十九日のレシピ』の中の乙美の夫・良平も、娘・百合子も、それが出来ていなかったことを彼女の死後に実感していた。彼らの後悔や、生前の乙美について何も知らなかったことへの情けない思いが、自分に重なった。読み進めるうちに、何度か涙を流してしまった。
もしかしたら、誰しも仕事などが忙しいときや追い込まれたとき、距離が近すぎる本当に大切な人のことを蔑ろにしてしまうことはないだろうか。
この本は、そんな人にぜひ読んでほしい。
忙しい間でも、少しでも時間をとって読んでほしい、素敵で心温まる1冊です。