皮肉たっぷりのジョークやメタファー、他愛も無い駄洒落が満載された饒舌な文章に慣れるのに、結構な時間がかかった。はじめの何章かは言っていることの意味がちっとも分らなかったほど。
過去の回想と現在進行中の出来事が交互に語られていくうち、劇中の現実と空想の境界が曖昧になり、最後に近づくにつれ、どこがどう繋がっているのか知りたい一心でページを繰る。
これはひとつの家族の物語だ。一人ひとりのすれ違いから語られ始めるので、家族の崩壊がテーマなのかと思いきや、いつしかそれは、むしろ固く結ばれた家族間の心の交流の描写であることが分ってくる。
読み始めはアメリカの社会・文化を批判することが主眼かと思ったが、過去の戦争から現在に至る地球の危機を、「囚人のジレンマ」というキーワードに象徴させながら語る。表面上きわめてアメリカ的な物語でありながら、読んでいる日本人の私にとっても、(というより日本人だから特にという部分もあって)他人事ではない重みを持っている。
各見開きの最後にジョークや駄洒落や引用やアメリカ文化を解説する大量の注釈が付いている。原語で注釈無しで、ジョークや文化的関連を理解しながら読むことができれば、きっとはるかに面白いのだろうと思う。