現在、オリンピック前にチベットでチベット人による蜂起が起きている。
中国側はダライ・ラマの策動であると主張し鎮圧を進めているが、武力鎮圧はないと言う。
日本の報道では青蔵鉄道の開通以降チベット人も潤ったのだと語る識者もいる。
そんな中本書を読めば、今回の暴動が必然的に生じる長い弾圧の歴史の一端が理解できる。
自由チベットと言って投獄された尼僧が辿った運命は、今も継続している。
現在でもチベット人がダライラマの写真を持っているだけで拘束・投獄・本書と同じ拷問があると聞く。
人民解放軍に怯えながら、それでも敬虔な仏教徒達が信仰と尊厳を守り暮らしてきた刻苦の歴史が、現在のチベット騒乱に結びつく必然を読者は理解できるだろう。
歴史的にみても、帝国は常に周縁を取り込むことで拡大し、周縁の文化を獲得することで成長していく。その取扱を間違えた帝国は、周縁から崩壊していく。
オリンピックイヤーを機に、中国という新しい帝国の透明性が問われている。