Amazonの文学・評論のページからしか入れないサイト、「マトグロッソ」。そこに連載されていた「ナショナル・ストーリー・プロジェクト(日本版)」をまとめたものが本書である。
本家の「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」とは何かというと、ポール・オースターという作家が、アメリカで作り話のような実話を集めてラジオで朗読していたものだそうだ。
「まえがき」で内田樹氏が「アメリカ版」と「日本版」とを比較して考察しているのがおもしろい。氏いわくアメリカ版では、投稿者がいる場所の地域性が感じられるが、日本版ではそういうことはなく、また投稿者の年齢の違いや、性差、職業の違いなどが文体に現れていないそうだ。「日本は本当に均質な社会なんだな」と氏は驚いている。欧米では階層的に言語が細分化されていることはわりと「ふつう」なんだそうだ。
たしかに本書を読んで、若い人が書いたのか、お年寄りが書いたのか、主婦が書いたのか、など判断ができない。
また巻末の内田樹氏と柴田元幸氏との対談では、「日本版」では「視覚」中心に書かれていて、「音」「匂い」「触覚」についての情報が少ないと指摘している。この辺も国民性なのだろうか。
この本を通じて日本人とはなにかがわかると言ったら大げさだろうか。