栗本先生の作品のうち、『翼あるもの』、『朝日のあたる家』に続く作品ですが、過去の方のレビューにあるような「完結編」ではありません。これら作品群の実質の完結編は同著者の別作品『ムーン・リヴァー』だと思われます。
『翼あるもの』、『朝日のあたる家』を読んでいらっしゃらない方には、あまり理解できないのではないかと思います。風間先生がグルグルしながらも、どん底から徐々に立ち直っていく作品です。かなり分厚い作品ですが、風間先生はしつこいくらいグルグル絶望したり、悩んだり、立ち直りかけたり、また苦悩したりしており、彼の心理描写が作品のメインなので、一応ヤクザの黒須とイイ仲になったりはしますが、いわゆるBL小説とは別物と考えた方が良いと思います。『翼あるもの』、『朝日のあたる家』を繰り返し読んで、登場人物の心理描写が心に残っているとういう人にしかお勧めしません。ただし、今西良も島津さんも、回想や世間話で名前が出てくるくらいです。野々村さんがちょくちょく出てくる他、森田透はちらっと登場します。内容としてはやや単調で健全なところが多く、小説としてはもっとコンパクトにまとめられそう、と感じました。
この後に続く作品『ムーン・リヴァー』では、森田透と島津さんの『朝日のあたる家』のその後が描かれていますが、そこでのキーパーソンは意外なことに風間先生なので、『ムーン・リヴァー』を読む前にお読みいただいて損はないでしょう。