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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
 
 

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) (文庫)

by 米原 万里 (著)
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Product Description

出版社/著者からの内容紹介

1960年プラハ。マリ(著者)はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ刺激的な毎日を過ごしていた。30年後、東欧の激動で音信の途絶えた3人の親友を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!


内容(「BOOK」データベースより)

一九六〇年、プラハ。小学生のマリはソビエト学校で個性的な友だちに囲まれていた。男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。それから三十年、激動の東欧で音信が途絶えた三人を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

Product Details

  • 文庫: 301 pages
  • Publisher: 角川書店 (2004/06)
  • ISBN-10: 4043756011
  • ISBN-13: 978-4043756018
  • Release Date: 2004/06
  • Product Dimensions: 5.9 x 4.3 x 0.6 inches
  • Average Customer Review: 5.0 out of 5 stars  See all reviews (43 customer reviews)
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33 of 35 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars その存在自体が奇跡のような傑作。, 2006/9/28
By TaroTaro - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
著者が9歳から14歳(1960年から64年まで)のときに通ったプラハのソビエト学校時代に仲の良かった3人の友達、ギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。出身は異なるが、著者も含めて皆、共産主義者の親を持ち様々な理由でプラハに集まった個性豊かな少女達である。

この作品は、著者のソビエト学校時代の彼女達との思い出と、それから30年以上経ってから彼女達を訪ね歩き、再会を果たしたときの出来事を綴ったエッセイであるが、単なるエッセイではない。幼い頃から共産主義が身近にあり、瑞々しい感性を大人になっても持ち続けたに違いない著者でなければ描くことができない、東欧庶民の生きた現代史である。

彼女達と何とか再会を果たすことにより、著者がソビエト学校当時にその理由が理解できなかった出来事の謎も解けるのだが、著者のユーモアのある文章をもってしても30年以上経って明かされた真実は非常に重苦しい。そして、著者がプラハを離れてからの彼女達の人生も厳しいものであったことがわかる。

更に、彼女達と話をするうちに、共産主義に振り回されそして激動の時代を生き抜いてきたことにより変わってしまった彼女達に共感できずにいる自分に戸惑い、苦い思いを残すなど、決してハッピーエンドではない。

他にも幼い頃にこういう経験をした日本人はいるのだろうが、感性、文才、ロシア語通訳としての経験、その全てが揃った著者のような人物がいなければ世に出ることのなかった奇跡のような作品だと思う。
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16 of 17 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars まさしくお薦め!, 2004/8/23
By m_2ks (青森県) - See all my reviews
さすがは米原万里と感心しました。軽妙な語り口の中で見せる米原さんの洗練された知性と洞察の深さに改めて敬服しました。

 私もかつてロシア語を当時のソ連から招聘教授として来日されたロシア人から習いました。既に高齢でご存命かどうかすら分かりません。ソ連崩壊後、一度だけ手紙を書いたことがありますが、返信はありませんでした。著者のようにソ連崩壊後、果たして彼女は元気で居るだろうか、一度彼女の住む街を訪ねてみたいと何度か思いながらも果たせないでいる自分が恥ずかしい。どうか穏やかな老後を送っていてくれたらと願いつつ。私はそれなりに分別もある大学生でしたが、米原さんの原点は中学時代。国境も民族も越えた少女達の素直な心の交流が、30数年後、国家に翻弄されながらも命がけで生き抜いてきた逞しさと共に再び米原さんに、私たちに様々な問いかけをもたらします。中年のオバサン同士の四方山話形式でありながら、その内容は実に重く、その言葉を何度も反芻せずにはいられませんでした。

 中心はわずか3人の旧友ですが、それぞれの両親の時代にも話しが及び、親兄弟のその後までもが加わることで話に奥行きが増し興味が尽きません。イデオロギーにどれほどの価値があったのか、国ってなんのか、民族って何?!いかに人間が傲慢か、だのに人間はかくもいたわり合い優しいのか。嘘つきアーニャの自分で自分を裏切る真っ赤な真実は我々に対する図星だけにやるせない。
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23 of 25 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 政治に翻弄された少女たちを通じて描く、見事な東欧現代史, 2006/6/29
By yukkiebeer - See all my reviews
(TOP 10 REVIEWER)   

 1960年代、マリはプラハのソビエト学校に通う日本人少女だった。同級生の中でもとりわけ仲がよかったのは3人。共産主義者の親とともに亡命してきたギリシア人のリッツァ。ルーマニアの外交官の娘アーニャ。そしてボスニア・ムスリム系ユーゴスラビアのヤスミンカ。鉄のカーテンの「向こう側」で少女たちは、大人たちの政治的思惑とともに生きざるを得なかった。
 そして90年代、東欧を襲った民主化の大きなうねりの後、マリは3人のその後を訪ねて歩くことになる。

 先ごろ亡くなった米原万里氏の著作を手にするのはこれが初めてではありません。しかし残念ながらこれ以前に触れた書は、どうにも露骨な下ネタが多くて、おもわず引いてしまうようなものが多かったのです。

 この大宅壮一ノンフィクション賞受賞のエッセイは違いました。1960年代にプラハのソビエト学校で机を並べた3人の個性的な同級生たちのその後を通して、現代東欧民衆史を鮮やかに切り出してみせる名エッセイです。「アーニャの嘘」に隠された真実を追う過程は、北村薫のミステリーを読むような高揚感と、真実の持つ悲しさとを味わわせてくれます。

 ですが、30年近い時を経て知る旧友たちの真実は、それでもまだ確たる真実とはいえぬ、ひとつのものをある一方向から見たものでしかないのかもしれない、というやりきれなさも感じます。アーニャの一家のその後の経緯をどう見るか、真実はひとつであるはずなのに、兄のミルチャの言い分、アーニャの母の言い分、そしてまたアーニャ自身の言い分はまるで違います。過去において共産主義とどう向き合ったのか、その度合いによって生まれた心の亀裂は、共産主義が終焉した後も決して埋まりません。

 家族を引き裂いたまま共産主義は去っていったということを、痛ましくも感じさせる少女たちの物語です。
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