よく言われることですけど、「嘔吐」というのは誤訳であって、「吐き気」いう方が近いんですね。
嘔吐できるのならまだいいんです。楽になるから。しかし、もしその吐き気に終わりが無いのだとしたら、そしてそれが人生なのだとしたら・・・。
これ程までに残酷な真実は他には無いでしょう。
人間は自分の人生や行動に何か意味があると思っています。そして人生の至高の瞬間(=冒険)を求めて生きていきます。
しかし、「そんなものは無い」のです。そもそも存在そのものに意味がない。
それは偶然の産物であって、無くてもかまわない。しかし私達はこの醜く、無意味で、偶然的な実存から逃れられない。何をしても無意味なのに、何かしなくてはならない。
終わりのこない「吐き気」を抱えながら・・・。
サルトルの実存主義は今では流行らないようですが、この「嘔吐」は現代だからこそ読まれるべき本だと思います。