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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
独り者のために,
By 砂漠のチャーチル (神奈川県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 嘔吐 新訳 (単行本)
孤独な人間が読むと、より強い孤独感を抱く類の本である。不思議なことに、時々現れる名無しの登場人物にふと一瞬だけ愛着を覚える。だが、その感覚は長続きせず、また独りに戻っていく感覚に襲われる。人生に執着する人間には単なる紙屑かもしれないが、人生を突き放して生きている人間にとっては、夜中の帰宅途中にあるコンビニのように明るい光を放つ紙束である。その光は瞬間的なものであるが、人生の地図を少しばかり照らすくらいの時をもたらす作品でもある。 左翼、右翼、中道といった政治的なイデオロギーとは関係なく(ここは著者の見解とは一致しないかもしれないが)、また恋人や家族の欠如といった「世俗的」な独り身ではなく、吐気を感じる独り身の人間には最良のパートナーとなりうる一冊である。
14 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読みやすい、忠実な表現,
By kameria1961 (富山市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 嘔吐 新訳 (単行本)
”私は性器に強い失望感を・・・"34ページのこの表現はすばらしい。 後半、4年ぶりに再会した元恋人のアニーとの対峙、その展開には瞠目する。 白井浩二訳で、微妙な訳しかたが、この鈴木道彦訳では心震える文章である。 あえて、新訳にした意義がよくわかる。 是非、鈴木道彦訳でプルースト「失われた時を求めて」をおすすめします。
41 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
サルトルは王道を歩んだ。,
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レビュー対象商品: 嘔吐 新訳 (単行本)
第二次世界大戦後、サルトルの発言が注目されたのは、彼がフランス人であり「赤」だったからに過ぎない。この小説がフランス文学を代表する傑作だとするならば、フランス文学はずいぶんと実りのない世界らしい。国力が衰えると芸術の分野も衰弱するということなのであろう。「嘔吐」を最大限好意的に読んだとしても精神を病んだ男の手記である。ただしロカンタンの病気はかんたんに治りそうである。症状は重くないからである。サルトルが作家として評価されるとするならば、その作品ではなく、作家としての姿勢であろう。 彼は、才能がまったくなくても、その意志さえあれば作家たりうることをみずから証明してみせたのである。また製作態度も比類ないほど誠実である。短編は別として完結したのが「嘔吐」だけであることがそのことを表している。「読み物」なら商品であり完結させて読者を満足させる必要もあろう。だが文学作品は本来未完であることが常態であるはずである。そういう意味からもサルトルは王道を歩んだのである。 ムーミンパパは小説家だが一行も書いてはいない。何人も彼の作品を読むことができないのである。サルトルはこの型の作家だったのである。
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