ジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督の1930年の作品です。時代と場所はワイマール共和政治時代のドイツの小都市で、主人公は堅物を絵に描いたような厳格なギムナジウムの教授のラート氏(エミル・ヤニングス)です。原作とされるハインリッヒ・マンの小説では一人息子がいる57歳のやもめの教授との設定ですが、映画でもそのあたりの年齢です。町のナイトクラブに出演している旅回りの一座の歌姫ローラ(マレーネ・ディートリッヒ)の写真を生徒が持っているのを見付け、補導の目的でナイトクラブを訪れます。
あれほど厳格だったのに、いや、それまで全く女性を遠ざけてきたからこそなのか、すっかりローラの色香に迷ってしまい、教授はそれまでの地位を捨て彼女と結婚し一座と一緒に旅回りを続けます。しかし、育ちも身分も違う二人の結婚生活が長続きするはずもありません。
ちょっとした運命のいたずらに翻弄される主人公。『カルメン』のドン・ホセやトマス・ハーディの作品の主人公たちを思い出しました。最後の場面は当時の映画に特有の、いわば歌舞伎の型のようなものです。映画の原題は Der blaue Engel (憂鬱な天使)で、教授がローラと出会うナイトクラブの名前です。なお、この映画は同じ役者が英語で演じた英語版も存在します。