本書の主張は、(1)「適材適所」「営業センス」で片付けられがちな営業人材の育成を効率の悪い無駄なものと捉え、(2)営業プロセス毎の標準化と分業化により営業案件を可視化する、点にあります。私たち営業人にとってはとりわけ(1)は如何にも忌々しいのですが、その主張には反面真理が潜みます。
本書は非常に判りやすいやさしい語り口で書かれていますが、内容的には紛れもないマーケティング研究の学術成果です。もっと深い理論から読まれたい方は石井・嶋口編『営業の本質』有斐閣,1995を参照されると良いでしょう。営業研究の論文集となっているのでカバレッジは本書より間広です。
プロの営業人は「学者に営業の何がわかる」と斜に構えそうですが、冷静に考えてみると転職経験者でもせいぜい数社の営業しか知らないわけで、実は井の中の蛙かも知れません。それに対して研究者は実証研究で何十もの企業のやり方を実際に見て分析しているので、これを勉強しない手はありません。