キャストの豪華さは信じられないほどです。またこのシリーズの特徴は全体に残る戦前との継続です。今作品でも、森繁久弥が戦争中は中隊長だった経歴が披瀝され、その当時の部下であった三木のり平とのユーモラスな掛け合いに、その戦時中の人間関係に由来する色が色濃く反映されています。1962年の作品ですから、戦時中はほんのちょっと前の出来事だったわけです。このような人間関係はもはや消滅寸前のものです。また登場する言葉もいまやpolitically incorrect wordsとなってしまったものが満載です。英語に直すと、pauper, bastard、そしてそれ以外にも多数の歴史的な用語が何度も繰り返されます。これらの言葉がかもし出す雰囲気はもう日本人には現実のシーンとしてはもはや実感することは不可能です。今回はロケが磐梯、そして飯坂温泉で行われており、当時の自然が満載です。たしかに道路事情はいまだに劣悪でありいつも埃が車が通るたびにまきあげられますが、自然も磐梯スカイラインの完成により変わりつつあります。全体として与える印象は喜劇というよりも、なんともいえない歴史的な風景への対面といったほうがいいでしょう。