ルポライター・上原隆が人に会い、書き綴った18のノン・フィクションを1冊の書にまとめました。登場人物は、皆何かしら大変な重荷とともに人生を生きています。他者からみれば相当厳しい状況を背負っている人もあり、読み進めるのが苦しい話もありますが、実話ゆえ、しっかりと受け止めるべき内容が収められています。
大きな障害を背負う子の父親である小説家や、中学生時代にいじめられ続けた女性、離婚した父親の影がロボットに乗り移ったような26歳の青年、戦力外通告を受けながら復活した元エース、離婚に至る日記を書き綴る女性、リカちゃんに変身することで欲望を満たす自治体職員、68回も恋愛を繰り返す女性、定年後の姿を描いた黄昏時、子殺しの裁判を傍聴し続ける女性、職探しの厳しさを感じさせられる39歳の失業中の男性、会社の倒産の憂き目に遭った人々、渋谷駅前のキャッチセールスで生計を営む若者など、どの登場人物も心の傷を負いながら懸命に生きていました。
どんな人もそうですが、日常を生き抜くのに楽な生活をしている人は少ないでしょうし、実際、皆なんらかの苦しみを抱えながら、それでも生き抜こうとしています。
もがきながら歩くのに疲れた瞬間、本書『喜びは悲しみのあとに』を読むことで再び前に歩みを進める元気をもらえるような気がしました。
この作品はそのような性質をもっています。心の悩みを抱えている人には或る種の精神安定剤のような役割も果たせそうです。皆多かれ少なかれ悩みを抱えているわけで、それを共有化するだけでも読者の心の負担は軽くなるように思います。
そんな効用を感じながら・・・。