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本書の著者らは、人間の理性に対する懐疑の時代を実際に体験した。彼らの内に湧き立つ静かな熱気が本書を並一通りでないものにしている。西洋の思想史を、否定的に俯瞰しながら、しかし、彼らの「思想」に対する批判はいまだ、既存の「思想」の領域内であろうと欲する。そこに著者らの思想の独自性が現れる。
単純な解決は誤っているのみでなく、罪でさえありうる。そういう時代に現実に直面した思想家たちの、矛盾に満ちた感情のほとばしりは、現代の私たちに大きな感動を与える。本書を貫く批判精神は、現代の我々にとっていまだ充分に多くの意義を与えうるが、むしろ頑なに批判的にあろうとした著者らが、なお矛盾に留まろうとするその決意にこそ、我々は多くを学び取るべきなのかもしれない。
「何故に人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代わりに、一種の野蛮状態へ落ち込んでいくのか」(『啓蒙の弁証法』“序文”より)
当時の現実に直面した筆者たちの窮境から発せられたこの問いは、二十世紀を振り返るとき避けられない。
近代をもたらした啓蒙について、批判を行います。... 続きを読む
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