会社法制定に伴う商法改正に対応した第5版。もっぱら初学者を対象としている、と著者がはしがきで語っているとおり、記述は平易で分量もコンパクト。例えば絶対的商行為の一つである投機購買の定義の説明では、他の概説書だと、「利益を得て譲り渡す意思、すなわち将来有利に転売する意思で、動産・不動産または有価証券の有償取得を目的とする行為」などと小難しく書かれていたりするものだが、本書では「投機購買とは、安く買って高く売ることである。」とこれ以上ないくらいにシンプル。
複雑な学説の対立にそれほど深入りすることなく、総則・商行為法の分野を概説しているので、「試験対策のためにあまり総則・商行為法の分野に時間はかけられないが、予備校本だけでは不安」という人にお薦め。本書で紹介されている判例を百選や判例検索で調べれば、発展的な学習にも対応できるだろう。
また、会社法の総則規定に関する条文も、商法総則の該当箇所についての説明と合わせて紹介されており、会社法における登記、商号、使用人、代理商等に関する規定についても説明がある。会社法の教科書の中には、総則に該当する部分の説明をかなり省略しているものもあるので、会社法の学習のための補充用としても役に立つだろう。