「朝に発意、昼は実行、そして夕べに反省、こういう日々をくり返したい」「商売は結局お互いのため」「まずサービスから」など、日々仕事をするうちに忘れてしまいがちなことが、語りかけるような口調でつづられていく。読み進めるうちにじわじわと心にたまり、商売のみならず人生に対する心構えを学ぶことができるだろう。和紙のような手触りの表紙、手書き風の罫線もあいまって味わい深い1冊となっている。
昭和48(1973)年に書かれたものながら、古さを感じさせない心得ばかりが並ぶ。基本的なものであるからという理由だけでなく、著者の先を見る目があってこそ、そう感じさせるのだろう。「外部に対して手を打たなければならないような情報がすぐに首脳に伝わるような雰囲気を、たえず内部につくっておくこと」などは「ナレッジマネジメント」の発想にもつながる。
本書に書かれた心得を「新しい時代に即した創意なり、工夫」をしながら日々の仕事に役立てるために、ぜひ手元に置いて何度でも読み返してほしい。(門倉紫麻)
この五月に本書以下「経営心得帖」「社員心得帖」「人生心得帖」「実践経営哲学」「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」の六冊が、「心得帖シリーズ」として一挙に文庫化された。ところが、生前“経営の神様”と呼ばれた松下がこのシリーズの一冊目に世に問うたのは「商売心得帖」という点が興味深い。
確かに松下は日本を代表する経営者である。しかし、大成した後も松下が根強く意識していたのは、ささやかな規模で始めた事業で体得した商売人としての行き方だったのではないだろうか。
まさに本書には“商売人・松下”の考え方の真髄が詰まっている。物が売れない時代に商売の原点を見詰め直すための絶好の一冊といえよう。
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
とても読みやすい。商売をするにも気持ちが大事。,
By
レビュー対象商品: 商売心得帖 (PHP文庫) (文庫)
結局、優れた人はものの見方が優れている。商売をするのに何も後ろめたさを感じる必要はないし、それ自体すばらしいことだと思わせてくれる。たとえば、「同業他社と同じ製品を少しくらい高く売ってもいい」という。なぜなら、その値段には売る側の魂が入っているからだ。ほかにも、お得意様がどんなにありがたい存在か。よい人は、「よい価値判断ができる」人。部下の意見を喜ぶなど、同意するところが非常に多かった。しかし、あまりにも読みやすいために、すぐ読み終わってしまって、後に残らない。何度も、読むとよい種類の本だと思う。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
珠玉の言葉,
By イグ - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 商売心得帖 (PHP文庫) (文庫)
わかりやすい言葉で、時代を問わない真理をつく―松下幸之助氏は世界に誇れる経営者であり、人徳者である。私は言葉を読んでいて涙するところもあった。すぐに読める。誰にでもわかる。でも、実行できる人は少ない。彼の、経験に基づいたひとことひとことが胸を打つ。こんな社長だったら誰でも付いていきたいと思うだろう。今の政治家にこれを感じる能力があるのか。 特に、「夫婦が仲がいいと、経営もうまくいっているところが多い」の言葉に、この人の、人を見る目の鋭さを発見。人間は、つまり、脳だけではなく、ハートと身体でも生きているのだ。 日本語で読めることを感謝する。 会社の社員教育にうってつけだ。「社員心得帖」とあわせてよみたい。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
経営者は従業員一人一人の“心根”に立つ,
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レビュー対象商品: 商売心得帖 第2版 (単行本)
心得帖六冊シリーズのうちの最古刊で一九七三年に出版。「商売の一つの真実」は皆のお陰というものだが、お得意様、仕入先のそれを超えて、著者は公共のインフラからも便宜を、警察・消防からも保護を受けているのだから、適正利潤を得、納税を通じてこれらに報いるのが国民の義務・責任と定義します。経営のムダと浪費を省き効率を求めるのも、この義務と責任に通じます。七四年刊の「経営心得帖」と並んで、後半部は「人事の心得」を扱います。それだけ商業における人づくりや組織作りに神経を配っています。「上意下達」を必要条件に「下意上達」の仕組みづくりを十分条件として、衆知を生かす「全員経営」体制を志向。経営者は従業員一人一人の“心根”に立つべき、と説きます。百、千、万と抱える人数が増せば増すほど一人一人に、より深い心から願い頼み祈る中心者としての境地に立つというのです。従業員は厳しい命令にあっても、背後のその心の響きに感応して効率よく働いてくれると。また最後に家訓・店訓・社訓の意義を説き、上杉謙信や伊達政宗、三井家、住友家、岩崎(三菱)家の家訓、また松下電器などの社訓を紹介。会社の定款を生かし成果を産み出すための各社の社是・社訓が、さらには社会の繁栄を導いたとします。定款は国でいえば憲法だが、日本にはこれを生かす“国是・国訓”がないため、その動きに国内外で一貫性と調和を欠き混迷すら呈しているのではないか、と警鐘を鳴らしています。これを政治のみならず「国民」一人一人が心して考えるべき、としたのは示唆的。
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