出版社/著者からの内容紹介
これまで感性や情緒は曖昧であり、科学に馴染まないという理由から、学問として取り扱われませんでした。しかし近年、感性という曖昧な特性も数値化できることがわかってきました。
たとえば、興味あるものを見たときには、その人の目は興味あるものに固着する時間が長くなり、瞳孔は広めになります。ものを見て感動すると、つい声が大きくなるし、周波数も高くなります。また新製品の車を見るときに、ユーザーは車の外観をなでるように眺め、そのあとで運転席に入ります。この動作は、車のデザインでは第1に外観設計に力を入れ、次にダッシュボードを詳細に設計すべきことを教えてくれています。
このように、生活者の感性はいろいろな角度から測定できるし、彼らの動作から設計要素のどれが重要かを理解することもできます。生活者の感性を的確に把握しそれを数値化することで、生活者の気持ちにマッチし魅力を感じさせる設計をする技術、これが感性工学であり、日本発信の新製品開発技術なのです。
生活者はシンプルで使いやすいものを望んでいます。誰にでも使いやすく設計することをユニバーサルデザインといい、今日の標準的な考えかたになっています。感性工学は誰でも使いやすい製品の設計も含めて、魅力的で売れる製品づくりを目指しています。ですから、感性工学を利用して開発された新製品は市場でヒットすることが多く、その分野のトレンドを創造することがよくあります。というのも、感性工学の技術でユーザーとなる人々の感性を的確に把握して、それを設計に移しかえるからです。つまり、感性工学は顧客満足(CS)を目標としているといえるでしょう。
いまや、Kansei Engineeringとして感性工学という言葉は英語になっており、外国の企業(たとえば、General MotorsやJohnson & Johnsonなどの大企業)からも注目されるようになりました。また、スウェーデンのBT社では新製品のフォークリフトを開発することを可能にし、航空機製造のBoeing社でもすでに感性工学が活用されています。
そして興味あることには、感性を生み出す大脳過程や大脳内の場所についてさらに研究され予見されようとしていて、それは「クォリア」と名づけられています。感性は人間工学、感性工学、工学、コンピュータサイエンス、大脳生理学その他の科学からも解明されようとしており、今後とも目の離せない研究分野のひとつとなっています。
本書は、最近10年間の感性製品の事例を中心に、感性の測定や感性から設計へ至る過程、および統計手法の使いかたなどをわかりやすく記述してあります。また新しい手法である「ラフ集合論」の感性工学への応用についても、詳しく述べられています。
内容(「MARC」データベースより)
最近10年間の感性製品の事例を中心に、感性の測定や感性から設計へ至る過程および統計手法の使い方などをわかりやすく記述。また、新しい手法である「ラフ集合論」の感性工学への応用についてもわかりやすく解説する。