池田功著『啄木日記を読む』の帯文には「はじめての日記論/赤裸々さと煩悶/心情の吐露から見える新たな啄木像」とあります。
まさに、はじめての「啄木日記論」の単行本です。池田氏にはすでに『石川啄木 国際性への視座』(おうふう)をはじめ、多数の啄木関係著作があります。
また、多くの啄木論を書いております。私は啄木を読む池田氏の視点にいつも、国際性の目線で啄木作品を読むという、他者にはみられない広さを感じてきましたが、今回の著書もその視点はしっかりと感じられました。
現存する啄木日記は13冊ですが、そのすべてを丹念に読み込んで、そこから啄木の「喜びや苦しみや社会への憤り」を感じ取った著者の深い知識と豊な感性とが、だれにでも分かるやさしい言葉で書かれていることに、先ず感動しました。
先年亡くなられた作家、井上ひさし氏が国際啄木学会の東京支部研究会で、井上氏が小説を書くときの心情としていることのひとつに、「むずかしいことを易しく書くということです」、と話されたことは、今も私の心に深くのこっております。
この話しは著者の池田氏も一緒に聴いていた、と記憶しますが、まさに井上氏の心情のひとつを、池田氏が実践しているような思いがします。
国際性のもっとも大切なのは他者との協調性である、と私は思うのですが、池田氏の今回の著書からも、啄木が如何に豊かで、深い国際的精神を有した文学者であったかを、”外国人から見た啄木”などを通して池田氏が得たことも含めて知らせて頂きました。
本書は研究者には勿論でしょうが、私のような愛好者にも嬉しくなるような一冊です。