極道が社内報を作るという奇想天外な発想から始まる連作短編集。映画化もされた。主人公はムショ帰りの泣く子も黙る「不死身の哲」なのだが、組の親分が奇妙奇天烈な行動をするので、抑止役として、むしろ常識人として振舞うのがまずおかしい。組には文学青年崩れもいて、「私は俳人で...」と言うと、「その若さで廃人か」等という会話が今でも思いだせる(買ったのは25年くらい前)程、面白い話が続く。作品毎に凝った趣向(風刺対象)を用意しているのも楽しい。また、全篇を通じて親分の家にあるライオン(=獅子)の剥製が、作品毎に悲惨な姿に変わっていくギャグも秀逸。
「スター・ウォーズ(唐獅子惑星戦争)」、「スーパーマン(唐獅子超人伝説)」など当時の流行ものを取り入れる傾向があったが、これはエンターテインメントの宿命であろう。大阪弁があまりにも板についているので、作者は関西出身かと思ってしまうが、実は江戸っ子で、本書のために大阪弁を勉強したらしい。
本書の解説を筒井康隆氏が書いているのが大きなオマケ。両者のファンである私にとっては、この上ない喜びであった。筒井氏は、作品中のパロディ・ギャグを丁寧に解説してくれる。小林氏のファンでなくとも文句なしに楽しめる傑作。