岸井明といえば、東映の脇役という印象がありましたが
CS放送や名画座で、1930年代のP.C.L.および東宝作品に接して
類まれなる歌唱力を持つ歌い手であることを知りました。
同社のラインナップには、和製ジャズがてんこもりで、
戦前のしゃれたユーモア小説から抜け出たような
ユーモラスな匂いのある岸井は、藤原釜足や宇留木浩などと並び、
同社の作品には、欠かせぬ存在でした。
本CDは、それと同時代のSPを復刻した2枚組アルバム。
岸井の歌唱力や、全篇に横溢する昭和モダンの香りはもちろん
紙恭輔、菊田一夫、白井鐵造、千葉早智子、小夜福子ら
ともに並ぶ顔ぶれにも注目。
大べテランの瀬川昌久氏を筆頭に、
たくさんの人たちが集い、協力し、
音源の復刻にも苦心したであろう
すばらしい企画です。
ただし、ライナーノーツは★★★。
もっと詳細な論考、
生前の岸井の文章や記事(『映画朝日』所載のルポなど)、
岸井について書いた同時代の芸能人の言葉、
レコード&映画出演リスト、年譜、舞台写真
なども入れてほしかった。
「ビクター・コンプリート」とありますが
岸井が出したビクター盤のコンプリートで、
他社の盤も存在しているのか
(全部で何枚くらいレコードが出ていたのか)
そのへんも少しわかりにくかったです。