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15 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
概論にして、学説史、そして哲学そのもの,
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レビュー対象商品: 哲学概論 (単行本)
本書が哲学概論の中で出色なことは多くの同意を得ることが出来ると思う。概論、つまりintroductionとしての役割を果たすべく、重要な諸概念や、哲学の考え方を示しながら、過去の重要な考え方を紹介しており、一方、学説史としての機能もあるうえに、しかも全体が、西田幾多郎の「哲学」でもある、というところが著者の力量を痛感するところだ。別言すれば、過去の学説、諸概念が自家薬篭となって、自説を展開できる水準にあったということだ。しかも簡潔にして直截な表現だ。西田は個々の学説に拘泥せず、むしろその言わんとする根っこをしっかりつかみ、各学説の重なり合う論点を、的確に衝き合わせ、そこに、自説を指し示してみることができた。他説を追いかけて吸収することに精魂を費やしたり、正確な理解とやらに骨身を削って結果自身を失うことは無かった。カール・レーヴィットが訪日の際、西田に面談し、唯一の日本の哲学者として認めたという逸話が、やはり著者のオリジナリティを証明するものだと思う。西田のカバーする範囲は広いが、守備固めのためにあれこれ手を広げている向きとは全く異なり、自身の関心のある問題考察の結果であるから、実にダイナミックで、無理に押し込んだ知識の山、という印象は希薄だ。昨今批判も多いが、公平に見て、いまだに日本で唯一の独創的な哲学者だった、と思う。
19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
講義を再現した良書,
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レビュー対象商品: 哲学概論 (単行本)
哲学を専攻しているわけではありませんので、内容には立ち入らず、初学者として感じたことを述べます。第1に、読みやすいことが挙げられます。後記によれば、本書は文学部の学生一般を対象としてなされた講義であり、その講義をノートを基礎に紙上に復元したものだそうです。実際、文全体の流れが良く、順序良く淡々と進んでいきます。初出の専門用語も説明してから進みます。 第2に、分量が224頁と少ないことです。一体哲学のどの程度の内容が網羅されているのか、初学者の私には分かりませんが、全体を俯瞰するための「概論」としては、厚すぎてはいけません。しかし、論述が簡潔すぎても理解できず逆効果です。本書は講義を再現しただけあって、その論述に飛躍や前提知識の省略が見られず、適当だと言えるでしょう。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
宗教―哲学―科学。認識論の歴史。,
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レビュー対象商品: 哲学概論 (単行本)
本書は「概論」ではあるが、必ずしも「入門」ではないと思う。
それは、全くの初学者が一読しただけで 哲学の概観を把握するといった類の「利便性」よりも、 ある程度の問題関心を持った人間が、 哲学の諸説を丁寧に検討していくような「専門性」が感じられたためである。 文章は簡潔で明快。そのため分量もさほど多くはない。 単に哲学史を羅列するようなものではなく、 諸説を一つ一つ検討しながら書かれている。 読者の関心に応じて要する時間は変わるだろう。 本文では「哲学とは何か」と言った話から 哲学の根本テーマである真善美が語られ、 さらに根底にあると考えられる形而上学(存在論)について語られる。 哲学史としても読めるが、認識論を基調に書かれている (これは近代哲学の一つの傾向のためだとは思うが)。 著者の主張と客観性が調和した名文。 個人的な話になるが、以前から哲学は「宗教―哲学―科学」のように、 ちょうど宗教と科学に挟まれるものだと感じていた。 客観性を重視すれば科学になり、情意に傾くと宗教になる。 哲学はそれを取り持つような役割を担うのではないか。 本書のどこかに「宗教を忘れた哲学は浅はかである」というような一文があったが、 それと同じく「哲学的な地盤の無い科学は面白みが無い」と思う。 以上これらの関連を検討するくだりは、とても深い考察で参考になった。
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