イギリスの亡命した若きヴォルテールが、カトリック派が支配するフランスを批判する目的で記したといわれる書。
イギリスの政治、宗教、哲学や科学、芸術の状況を、書簡の形式で記しながら、所々に、フランスを批判する部分を、微妙なさじ加減でちりばめている。
ヴォルテールは、イギリスにおいては、クエーカー教徒を始め、キリスト教の様々な宗派が共存している様子や、当時のフランスでは考えられない、議会中心の様子を、その書簡に記している。また、ニュートンの引力、光学といった理論内容を紹介している。
彼は、哲学は宗教には何の影響も与えられない。なぜなら、哲学を学ぶ人など、国の中では、本を読む人は少なく、さらに、その中で哲学の本を読む人など、ほんの一握りなのだから、と皮肉たっぷりに述べている。
しかし、今日の状況では、それは皮肉ではなく、文字通り、そのような状況になってしまった。これは、ヴォルテールも予想できなかったに違いない。
書簡の最後では、パスカルの『パンセ』について、具体的な文章を上げながら、実に細かい点にまで、その内容を批判している。よほど、『パンセ』の内容が気に入らなかったのだろう。
この書は、『哲学書間』とされているが、内容は決して哲学的な内容とはいえない。今でいえば、社会評論、というべき内容だろう。むしろ、ヴォルテールには、哲学者ということばより、もっと泥臭い、評論家という肩書きの方が、似合っている。