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哲学の謎 (講談社現代新書)
 
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哲学の謎 (講談社現代新書) (新書)

野矢 茂樹 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

時は流れているだろうか。私が見ている木は本当にそこにあるか? 他者、意味、行為、自由など根本問題を問いなおす対話篇。

死と他者―― ――あのさ、君は、自分が死ぬことによって何が終わるんだと思う? 少なくとも世界が終わるわけではない。しかし、確かに何かが終わる。ときには、自分が死ぬといっさいが無に帰すような感じさえ抱く。 ――そうそう。そういう感じって、確かにある。でも、世界はほとんど無傷のままあり続ける。これ、どうも、なんか妙な気分だよね。実在の世界はあり続けるが、ひとつの意識の世界が終わるとは言えないだろうか。 ――意識の世界? 死は、身体の物質的組織の変化であると同時に、いま感じているこの温かさ、この明るさ、これらの物音の意識、そしてもろもろの記憶の喪失にほかならない。世界そのものは終わらないが、私は五官で受け取っているこの意識の世界は消失する。 ――うーん、何かしっくりこないな。何だろう。――本書より



内容(「BOOK」データベースより)

時は流れているだろうか。私が見ている木は本当にそこにあるか。他者、意味、行為、自由など根本問題を問いなおす対話篇。

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5つ星のうち 5.0 哲学は、実に面白い, 2006/9/11
By 丁三 (千葉県) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
オビの「時間は時速1時間で流れているか?」に惹かれて手に取った。
著者の野矢氏は東大の哲学の先生である。

カントによれば、哲学の問題は突き詰めると、

 1.自分について 
 2.世界について
 3.神(もしくは真・善・美)について

に大別できる(『現代思想の冒険』竹田青嗣)そうだが、
最近の思想界は2が主流で、1や3についての議論は下火だという。

本書のテーマは、その意味では古典的な1の認識論の問題に焦点を当てている。
たとえば、

 ■私たちは「自分が死んでも世界は続く」と思っているが、なぜそういえるのだろうか?
 ■時間が流れるって、どこをどうながれているのだろうか?
 ■私の見ている「赤」と、あなたの見ている「赤」は同じ「赤」といえるのだろうか?

といった疑問である。

実生活にはなんの役にもたちそうにない。
マルクスの思想のように、世界に大きなインパクトを与えたりはしない。
しかし、素朴な疑問としてはすなおに面白い。

そもそも、ミジンコの生態やら、イルカの言語やら、
実生活には何の役にも立たないことに、人はいつも興味津々である。
哲学の謎も、そのように思えばよいのかもしれない。
すなわち、ひとは「自分」を面白いと感じる生き物なのだ、と。

表題の「哲学の謎」は、おそらく解けたとはいえない。だが、

 「へぼな答えで謎としての生命力を失わせないよう、謎のまま取り出す」

という、野矢氏の意図は成功していると思う。

本書は野矢氏自身の自問自答、対話形式をとっていて、
それがために、何が謎なのか、何を問題としているのかが非常にわかりやすい。
難解な言い回しで煙に巻く一般の「哲学書」とはまったくちがう。

哲学は、別に役にたたなくてもいい、ただ単に面白いというようなものなのだ、
ということがやっとわかった気がした。
これはお勧めである。
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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 対話による日常への深い切り込み, 2007/2/12
 この本で、あつかっているのは、以下の9つのテーマです。
1.意識・実存・他者
2.記憶と過去
3.時の流れ
4.私的体験
5.経験と知
6.規範の生成
7.意味の在りか
8.行為と意志
9.自由
 9つのテーマについて、「〜とはなにか」と言ったアプローチではなく、
「地上かろいっさいの生物が絶滅したとするね。
 ーいきなり、なにさ。
 そのとき、それでも夕焼けはなお赤いだろうか。」
と、そんな対話から、日常で目にする事象を取り上げ、深く切り込んで行きます。
 語り口は平易ですが、切り込みは深く、対話について行くにはそれなりに労力を要求されます。哲学門外漢の私ですが、あつかっている内容は日常から見た「認識論」と言ったところでしょうか。
 先人の哲学者の解説書を読むのではなく、この手の「哲学のテーマ」を掘り下げた本というのも、読んでみると、なかなか刺激的でした。
 
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16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 入門書なのであって、入門書ではない。, 2006/9/10
 僕自身の経験でもあるのだけれど、哲学はやっぱりとっつきにくい。
本を読むたびに、存在論だとか、認識論、超越論的だとか、超越的、実在論的だとか、実存、対自、即自などなど、何がどう違うのか、分かりにくい単語が羅列してあるだけに見えてきてしまって、お経を聞いているかのような心地になる。

 こういったことの要因のひとつには日本語で哲学(特に西洋哲学の伝統を引き継いでいる哲学)することの問題、すなわち邦訳の問題もあるんだろう。

 この本はそういった語彙を使用することなく、「哲学とは何か」の本質を突いた書だと思う。決してある種の知識が身につく本ではない。あくまで日常的な言葉を駆使し、時には著者一流の冗談を交え、哲学の問題を対話形式によってあれこれと探ることで、哲学的思考とは如何なるものかを浮き彫りにしている(私見だが、プラトンの対話編を思い起こさせる)。

 答えが欲しい人には無用な本だ。答えは何も提示されない。そこにあるのは「哲学的思考力」だと思う(ついでに言っておくが、勿論、答えがないのだから「如何に生きるか?」などに答えている訳もないし、そういった議論もない)。

 哲学を始めるにはうってつけの本だと思う。ただし、「講壇で教えられる」哲学を始めるのではなく、「自分で考える」ことを始める人にとってはだ。

 えらそうなことを言って恥ずかしいし、更に、恥の上塗りとでも言うべきか、私は哲学を学ぶ学生に過ぎない。しかしながら、私にとっては貴重な一冊である。これによって、哲学という巨大な城の門をくぐったといってもいい。未だにこの本で論じられている問題の付近を彷徨っている。普通の入門書ならば、門をくぐってから城までの見取り図を与えてくれそうなものである。しかし、この本は、門をくぐってから城までの見取り図を与えはしない。

 ただ、哲学の歩き方を暗示するだけである。
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