現在から40年以上まえの1966年に出版された本です。私の手した版は76版で、40年間絶版にならず、版を重ねてきたことからも、本書が良書であることが伺えると思われます。
「哲学のすすめ」という表題が示すように、これから哲学を勉強される方に哲学がどういう学問であるかを説いた内容となっています。はじめに著者は、なぜ哲学が必要とされるのか?、哲学とは平たく言って個々人が持っている世界観に他ならないこと、を説きます。その後、哲学と科学がどのような関係にあるか、哲学の社会的意義、哲学の学問性、等々に論を進めて行きます。
「哲学=世界観=価値判断」という図式が本書の骨格であり、平易な用語とあいまって、骨格が明確なぶん大変読みやすい記述となっています。
ただ「哲学」は、単に「世界観」にとどまらず、「認識論」や「存在論」といったことを問題としているわけですが、なぜこの様な分野を問題とすのかの記述、つまり哲学の必要性は説かれているものの、哲学が「なにを」「なぜ」問題とするかが述べられておらず、少しだけ不満が残りました。
やはりこの本は、哲学に触れてみる際、最初に読む本なのでしょう。
参考までに以下に目次を示しておきます。
1.だれでも哲学をもっている
2.科学の限界はなにか
3.哲学と科学は対立するか
4.哲学は個人生活をどう規定するか
5.哲学は社会的意義をもつか
6.哲学は現実に対して力をもつか
7.科学の基礎にも哲学がある
8.哲学は学問性をもちうるか
9.人間の有限性の自覚