著者は先ず“管理図と抜取検査・QCストーリー・実験計画法などの"伝統的SQC手法"”について、その各手法の得失に触れ、次いでタグチメソッドの有用性やその理論的根拠などについて解説・論述を行なっている。(「まえがき」に記されているように)本書により、“タグチメソッドが、これら"伝統的SQC手法"の延長線上にあるものとして扱われ SQC手法の再構築が行われる”ことを願ってのことである。
乱暴ながら一口で言ってしまえば、タグチメソッドでは、先ず“直交表の各行において(単一データを採取するのではなく)信号因子と誤差因子を二元配置する”。そしてこの各行での実験データについて分散分析を行ないSN比を求め、次にこれらの各行SN比データの集合について直交配列に基づく分散分析を行ない、その結果から”ばらつきを小さくする因子“や”感度を希望の向きに大きく変更し得る因子“を選び出す。著者は「まえがき」で、この考え方に「目から鱗が落ちる」との思いを記している。
このように、タグチメソッドでは実験計画法と異なり等分散を仮定せず、各条件でのばらつきの影響が評価できる。また望大・望小特性だけでなく望目特性も扱えるから、管理が行ない易い。従って出荷前での製品の信頼性評価・さらに仕様の設定値や仕様の範囲が変更された場合での信頼性予測も可能となり、安心して迅速な対応ができる。
本書は、タグチメソッドの理論的根拠などについての包括的解説・論述としては、恐らくわが国最初の成書。題材・順序など、よく考え抜かれた構成なのでリテラシーがよく見通せる。また体系的且つ明確で飛躍・無理のない丁寧な解説がなされているので、この手法の素晴らしさの理解がしやすい。著者の、この解説・論述の努力に感謝したい。